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フラッシュ家具の知識(工程編)
こんにちはBERGです。
今回は当社で製造する家具や什器を作る主な製作方法であるフラッシュ構造の家具について説明していきたいと思います。
1つずつ順を追って説明していきますので最後までご覧頂ければ幸いでございます。
フラッシュ家具とは
フラッシュ家具とは芯材と呼ばれる木材を梯子状に枠を組み表面に薄い板を接着剤で張り付けた板(フラッシュ合板または中空合板)を、ダボや木ネジや接着剤を使用して作られた家具の事を呼びます。
文字で書いただけではさっぱりわからないと思います。
なので、写真を使って具体的に説明していきます。
こちらがフラッシュ構造の合板を作るための材料になります。
化粧合板と芯材はいろいろな種類があるのですが、今回は化粧合板はプリント化粧合板、芯材はラワン合板を使用しております。
コアと書いてあるものはペーパーコアといい、芯材の入っていない空洞の部分は強度が弱いので、その空洞を強化する役割で使用します。
先ほどの材料を梯子状に並べた物がこちらの写真になります。
今回の物はシンプルな日の字型ですが、大きさや形、使用用途によって芯材の種類、芯材の配置を組み合わせ一枚の板を製作していきます。
芯材の種類はこちらでご紹介しています。→フラッシュ家具の知識 (材料編)
写真では並べているだけですが、実際に製作する場合は芯材を下のガンタッカーと呼ばれる工具で繋ぎ合わせていきます。
針はホチキスのでかい版と思っておいて頂ければ大丈夫だと思います。
ホチキスと違う所は、重ねた物を繋ぐのではなく隣の材料を繋げる事、針は織り曲がらずにコノ字の形のまま板に刺さります。
もう一枚の化粧合板を上に重ねてフラッシュ合板の完成になります。
実際に製作する場合は、芯材に木工用ボンドを付けてから芯材を配置し、プレス機で平均50分程プレスして完成になります。
ちなみにプレス機ってこんなやつです
完成したフラッシュ合板を横から見てみるとこのような感じになります。
写真のように材料を貼り合わせて出来た層の事を一般的に木口と呼びます。
貼り合わせたばかりのフラッシュ合板の木口部分は木工用ボンドがはみ出たり、貼り合わせた化粧合板がプレスの際に若干ずれたりと、木口面がキレイなフラットではないので、四方の木口をカットしてキレイに整えてあげる事が基本になります。
そのため、フラッシュ合板を製作する時は、仕上がり寸法+きりしろ分を最低でも伸ばしてあげる必要があります。
弊社では仕上がり寸法+10mmでフラッシュ合板を製作しています。
木口部分は木口をわざと見せる場合もあるのですが、基本的には非塩ビタイプや突き板の木口テープ、化粧板を削った物、ローカンやソフトエッジ等を貼り付けていきます。
積層合板やLVLはそのままの木口がストライプの様なデザインになっているので、よく木口を貼らずにそのまま使うことがあります。
下の写真はシナの積層合板を使用した家具になります。
木口を貼らなくてもいい感じに仕上がっていますね。
フラッシュ合板を製作する工程は以上になります。
次は実際の商品を例にフラッシュ合板を使った家具を見ていきましょう。
フラッシュ家具の製作例
今回はこちらの収納トロッコという商品を使ってご説明いたします。
トロッコには下にキャスターがついており、前後に移動できるようになっております。
フラッシュ合板の作り方は前回説明いたしましたので、フラッシュ合板を製作した所から見ていきましょう。
今回のトロッコはフラッシュ合板を計4枚とその他のパーツで製作しています。
各パーツの詳細は以下の通りです。
※点線の部分は芯材が入っている場所になります。
前板
横から見た時
前板の上部だけ芯材がMDFになっていますが、これは後程説明していきます。
側板(左右一枚)
横から見た時
裏板
横から見た時
底板
厚みが5.5mmの薄い板です。
今回の収納トロッコはこの薄い板を溝にはめ込み底板にしていきます。
キャスター付き合板
ラワン合板にキャスターを取り付けています。
組み立て時に木ダボで本体と連結していきます。
では、加工後のフラッシュ合板を見ていきましょう。
加工後
前板
加工が終わりだいぶ雰囲気が変わりましたね。
芯材がMDFだった所は手をかけれるように、手がかり加工を施しています。
では、なぜここだけMDFにしているのかというと、パーチでも合板でも同じような加工は可能なんですが、MDFにする事で、
・加工時の刃に対する抵抗が少ない
・木口にテープを張る場合にテープの接着がいい
・刃への抵抗が少ないので、刃が消耗しにくい
といったメリットがあったのでこの部分だけMDFを芯材にしていた訳でした。
このように、芯材は特徴等を考慮して状況に応じて使い分けて使用していきます。
側板
裏板
加工後の写真を見て頂きましたが、
まず全ての板に加工している溝は、パーツの時にご紹介した5.5mmの底板がはまる溝になります。
組み立て時にこの溝に底板をはめるだけで、底に板が出来上がるわけですね。
次に、写真のテープ面と書かれている所は文字通り木口テープを張り付けている部分になります。
前板の二枚目の写真は実際のテープ面の写真です。
見て頂ければ、同色のテープを木口に貼り付ける事で、違和感なく馴染んでいるのが分かって頂けると思います。
写真の中で木口テープを貼っていない部分は、地面の方を向く面や、連結した際に木口が見えなくなる面になり、貼ってもあまり意味のない所なので貼らない仕様になっています。
今回は貼っていませんが、ご注文の内容やお客様によっては見えない部分を貼る場合もよくあります。
最後に様々な所に空いた大きさの違う穴について説明していきますと、
この穴は、カムロック式という組み立て方で作る家具を作る際に必要な穴になります。
カムロック式という言葉はあまり聞いたことがない方のほうが多いと思いますが、
実はこの組み立て方の家具はいろいろな所で使われていて、
有名な所ではニトリやIKEA等の家具にも使われていますので、ほとんどの方はこのカムロック式という方法で一度は家具を組み立てた経験があるんではないでしょうか?
ちなみにこういったお客様ご自身が製作する家具を 『ノックダウン家具』 ともいいます。
形は微妙に違いますが組み立てる際にこのような金物を使用しませんでしたか?
実は先程の大きさの違う穴はこの金物を使うのに必要な穴だった訳です。
この金物を使用して実際に連結する方法は下記ページ内に動画がありますのでご覧頂けるとさらに理解して頂けると思います。
Movie←こちらの【組み立て家具のカムロック連結方法】になります。
家具を製作していく方法には、今紹介した方法以外にも木ダボだけを使う場合や、釘やビス、ビスケット等を使う方法、無垢材なら組手など、様々な方法があります。
もし家具に興味がある方は是非調べてみて頂ければと思います。
個人的には組手は見ているだけでも面白いのでおススメです(^^♪
『フラッシュ家具の知識 (工程編) 』 は以上になります。
最後までご覧頂きありがとうございました。
DIYをされる方、家具に興味がある方など、このページをご覧になられた方のなにかお役に立てれば幸いでございます。
材料編もありますので興味のある方は是非ご覧ください→フラッシュ家具の知識(材料編)